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一般社団法人日本生殖医学会

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ホーム > 一般のみなさまへ:生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A) > Q21.女性の妊娠・分娩に最適な年齢はいくつくらいですか?

一般のみなさまへ

質問年齢が不妊・不育症に与える影響
Q21.女性の妊娠・分娩に最適な年齢はいくつくらいですか?

回答

 妊娠が成立しやすいかどうか、いわゆる生物としての妊孕能(にんようのう)という面からみると、妊娠するのは若ければ若いほどよいといえます(注)。ただし、初潮を迎えてからの数年間は排卵が起こっていないことも多く妊娠が成立しやすいと一概には言えません。
 一方、分娩するためには、成人女性としての成熟した身体になっていることが必要です。この観点からみると、十代の女性の身体は発育の途上にあるので、出産に適しているとは言えません。また、逆に年齢が上昇すると、分娩時の児の通り道(産道)の組織の弾力性が失われていく点や、年齢に伴う全身性の疾患(生活習慣病など)や、子宮の疾患(子宮筋腫など)の頻度が高くなり、妊娠・分娩にリスクが伴いやすくなります。
 以上の点から、妊娠・分娩に最適な年齢は20歳代と言えましょう。遅くとも30歳代半ばまでに第1子を出産するのが望ましいと考えますが、上に述べた生物学的な条件の他に、自身の就学状況、婚姻(またはパートナー)の状況、就労状況など、多くの家庭や社会周囲の要因を考慮して、個別に計画を立てていくことが重要です。
 このような個人の状況も踏まえて、子宮、卵管、卵巣の所見を元に、主治医の先生と妊娠の時期についてよく相談することをお薦めします。

(注)妊孕能(にんようのう)、卵巣予備能について
 卵巣にどれくらいの卵胞(卵子)が残っているかを卵巣予備能と呼び、さまざまな方法で推定する工夫がなされています。血液中のホルモンなどの物質(卵胞刺激ホルモン〔FSH〕、インヒビン、抗ミュラー管ホルモン〔AMH〕など)を測定したり、超音波検査により、卵巣の大きさや卵胞数を計測したりする方法です。また、体外受精がさかんに行われるようになり、その診療の過程で採取できた卵子の個数や受精して妊娠に至った率などの検討から研究が進みました。それによると、女性の卵胞の数は年齢とともに徐々に減っていき、特に30歳代後半からはその減り方が急になっていくことがわかってきました。ここでいう卵胞はその中に卵子が1個ずつ入っているわけですから、卵胞の数は卵子の数を表していることになります。
 卵子は胎児の時に作られ、出生後に新しく作られることはないので、年齢が上がってから排卵する卵子はそれだけ年数を経た、いわば古い卵子ということになります。卵子には「質」という因子もあり、年齢とともに「卵子の質」は低下していくことが示唆されています。しかし、「卵子の質」を正確に表す指標は、現在のところありません。
 卵子の数と質の両面からみて、妊孕能(にんようのう)(妊娠のしやすさ)は若い人ほど高いと言えるのです。

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