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一般社団法人日本生殖医学会

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ホーム > 一般のみなさまへ:生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A) > Q8.不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?

一般のみなさまへ

質問治療
Q8.不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?

回答

 不妊症の治療は、原因に応じて最適な治療法を選択して行います。治療には保険適応のものと自費のものがあります。

 主な治療法には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、さらには体外受精などの生殖補助医療があります。不妊原因を取り除く目的で、内視鏡手術(子宮鏡・卵管鏡・腹腔鏡)も行われます。人工授精と生殖補助医療は自費で行われる治療です。選択した治療法で妊娠が得られない場合には、必要に応じて高度な治療へステップアップすることがすすめられます。(図1)

タイミング法

 排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる治療です。まず、排卵予定日より前に、経腟超音波検査で卵巣内の卵胞という卵子が入っている袋の大きさを測定します。一般に、卵胞の直径が20mmくらいになると排卵するため、この計測値から排卵日を推定します。補助的に、尿中や血中の排卵を促すホルモン(LH)の値を測定して、排卵日を予測することもできます。排卵日の2日前から排卵日までに性交渉があると妊娠しやすいと言われています。

排卵誘発法

 内服薬や注射薬によって卵巣を刺激して排卵を起こさせる方法です。通常、排卵のない方や排卵が起こりにくい方に行いますが、タイミング法や人工授精の妊娠率を高めるために、あるいは体外受精などの生殖補助医療の際に使用されます。詳しくは、Q9.排卵誘発薬にはどんな種類がありますか?を参考にしてください。

内視鏡手術

 検査としても治療としても行われます。腹腔鏡検査においては、卵管周囲の癒着や子宮内膜症などの病気がみつかることがあり、検査を行うと同時に治療を行えるメリットがあります。子宮鏡および卵管鏡は経腟的に行われます。子宮鏡手術では、妊娠の妨げになるような子宮内のポリープや子宮筋腫を切除することができます。卵管鏡手術では、閉塞している卵管にチューブを通して開通させ、自然妊娠する可能性を高めることができます。

人工授精

 精子に問題がある男性不妊症が主な適応となります。採取した精液から運動している成熟精子を洗浄・回収し、それを排卵の時期にあわせて細いチューブを用いて子宮内に注入することで妊娠を試みる方法です。詳しくは、Q10.人工授精とはどういう治療ですか?を参考にしてください。

生殖補助医療

 体外受精と顕微授精があります。いずれも腟から卵巣に針を刺して卵子を取り出し(採卵)、体外で精子と受精させて、後日受精卵を子宮内に返します(胚移植)。顕微授精は、卵子の中に直接にひとつの精子を注入して受精させる方法で、卵子と精子が自然に受精できない受精障害の場合に行われます。いずれも、他の治療によって妊娠が得られない難治性不妊症が対象になります。詳しくは、Q12.体外受精とはどんな治療ですか?Q13.顕微授精とはどんな治療ですか?を参考にしてください。

加齢と妊娠について

 不妊原因に応じて上記の治療を行えば、誰もが必ず妊娠できる、というわけではありません。卵巣手術の既往や子宮内膜症や子宮筋腫などの基礎疾患の存在が妊娠の妨げになることもありますが、誰もが避けることのできない因子が加齢の問題です。加齢が進むと、卵子や精子の数が少なくなり、質も低下することがわかっています。そのため、たとえ体外受精や顕微授精を行ったとしても、受精しない、もしくは胎児に発育できない、といった状況となり、妊娠・出産することが困難になります。それぞれの患者さんの状況に合わせた治療選択が重要であり、治療を徐々にステップアップするだけでなく、早期に体外受精をすすめることも選択肢の一つになります。

図1.不妊治療の流れ
図1.不妊治療の流れ
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