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一般社団法人日本生殖医学会

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一般のみなさまへ

質問治療
Q11.生殖補助医療にはどんな種類があり、どこに行くと受けられますか?

回答

 生殖補助医療(ART)とは、採卵や採精で得られた卵子や精子を体外で受精させ(体外受精や顕微授精)、得られた受精卵(胚といいます)を体外で培養したのちに、子宮の中に移植する(胚移植)、といった不妊治療のための一連の医療技術のことをいいます。生殖補助医療は、全国の不妊治療を専門におこなっている施設(不妊治療も行っている大学病院や総合病院、不妊治療専門のクリニックなど)で受けることができます。

1)生殖補助医療の種類

(1)体外受精・胚移植(IVF-ET)
 採卵により得られた卵子を、体外で精子と共存させ(媒精といいます)受精をさせる方法を、体外受精といいます。得られた受精卵(胚)を、数日間、専用の培養器の中で培養をしたのち、子宮の中に移植する治療法を、胚移植と言います。当初は、卵管の障害が不妊の原因であると診断された方に対して、この治療が用いられてきましたが、現在は、その他の原因による不妊症に対する治療としても行われています。

(2)顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)
 顕微鏡下で細いガラスの針を用い、精子を1匹だけ捕まえて、その精子を卵子に入れることにより受精を目指す方法を、顕微授精といいます。特に、精子を卵子の細胞質に入れる方法をICSI(卵細胞質内精子注入法)と呼び、これが現在主流となっています。顕微授精は、原則的にこの治療法でないと受精が難しい場合に行うこととなっています。具体的には、男性不妊(精子の数が少ない場合や運動率が低い場合など)や受精障害などが適応となります。

(3)凍結胚・融解移植
 体外受精や顕微授精を行った時に、得られた胚を凍らせて保存をすることを、胚凍結保存と言います。また、凍結した胚をとかして子宮内に移植することを、融解(胚)移植と言います。凍結・融解胚移植を行うことにより、①子宮内膜が着床に適した状態になった周期に移植を行うことが可能となります。②採卵・媒精により複数の胚が得られた場合でも、移植する胚以外の胚(余剰胚)を凍結保存することで、移植する胚の数を1つにすることができます。これにより、多胎妊娠(双子以上の妊娠)のリスクを低下させながら、かつ、複数回の採卵を行わずに、効率的に妊娠の機会を増やすことができます。③採卵後に重症の卵巣過剰刺激症候群となる恐れがある場合、全ての胚を凍結し胚移植を行わないことがあります。そうすることによって、卵巣過剰刺激症候群の重症化を防ぐことができます。

 上記の治療方法については、次のQ&A以降に、その詳細が説明されています。是非、そちらもご覧ください。

 なお、生殖補助医療は不妊の原因そのものに対しての治療法ではありません。そのため、お子さんを出産されたあとも、その不妊の原因は残ってしまうことが一般的です。不妊の原因となるような病気をお持ちの場合は、その病気の治療や定期的なフォローも重要になってきます。

2)生殖補助医療を受けるための施設

 生殖補助医療が始まった1980年代では、この治療をおこなえるのは大学病院や大病院のような先端的な医療が可能な施設のみでした。しかし、現在では、不妊治療の技術が安定し、培養のための器具や試薬が一般化してきました。そのため、わが国においては、不妊治療を専門におこなっている病院やクリニックの治療レベルは、大きな違いがないレベルまで発展しています。

 日本産科婦人科学会では、生殖補助医療を行っている施設(生殖補助医療実施医療機関)の一覧を毎年発表しています(https://jsog.members-web.com/hp/search_facility)。

 また、日本生殖医学会では、生殖医療を専門とし資格を持つ医師(生殖医療専門医)を認定しています。
生殖医療専門医制度 認定者一覧

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