「子どもを持ちたい」と思いつつもなかなか妊娠しないカップルは、10組に1組とも、5組に1組とも言われています。たとえば、世界保健機関が過去の調査を2023年にまとめた報告では、不妊の人の割合は全人口のおよそ12.6%であり、また、6人に1人が生涯のいずれかの時期に不妊を経験すると推定しています。
「妊娠のしやすさ」は、女性の年齢により大きく変化します。一般に、もっとも女性が妊娠しやすい年齢は、20歳前後とされています。しかし、年齢が上がり、特に30歳代後半になると、年ごとに妊娠し難くなります。したがって、「子どもを持ちたい」と思ってもなかなか妊娠しないカップル、つまり不妊症の人は、年齢が上がると共にその割合が急速に上昇するのです。そして、女性の年齢が45歳を過ぎると、たとえ排卵や生理があっても、赤ちゃんとなって生まれてくる可能性のある卵子は極めて少なくなるために、妊娠の可能性もほとんどなくなります。
わが国では、2023年に、女性の平均初婚年齢が29.7歳となり、第一子出生時の母の平均年齢は31.0歳となりました。約40年前の1985年には、これらの数字はそれぞれ25.5歳と26.7歳でしたから、「子どもを持ちたい」と思いつつ、なかなか妊娠しないカップルの割合は、近年上昇しているものと思われます。実際に、厚労省の調査では3組に1組以上の夫婦は不妊について心配したことがあり、現在検査・治療中もしくは過去に検査・治療の経験がある夫婦は4.4組に1組と報告されています。また、体外受精などの生殖補助医療を受けるカップルは毎年著しく増加しており、2022年には日本で生まれるこどもたちの10人に一人は、生殖補助医療による子どもたちです。
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