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一般社団法人日本生殖医学会

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一般のみなさまへ

質問治療
Q9.排卵誘発薬にはどんな種類がありますか?

回答

 排卵誘発薬は(1)排卵障害がある場合、(2)タイミング指導で結果が得られず治療をステップアップする場合や人工授精を行う場合、(3)生殖補助医療を行うために採卵をする場合に用いられます。一般不妊治療では内服薬が第一選択薬として用いられ、生殖補助医療では注射薬が多く用いられます。このうち、内服薬は脳から分泌されるホルモンを増やして、自分の力で卵胞を育てるのを助けます。一方、注射薬はそのホルモン自体を体の外から補い、卵巣を直接刺激して卵を育てます。薬剤によって複数の卵胞が発育すると、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群のリスクが高まるため、使用に際しては十分な注意が必要です。

(1)レトロゾール、クロミフェンクエン酸塩、シクロフェニル

 レトロゾール(商品名;レトロゾール錠,フェマーラ錠)、クロミフェンクエン酸塩(商品名;クロミッド錠)およびシクロフェニル(商品名;セキソビッド錠)は脳の中央部にある「視床下部(ししょうかぶ)」という性機能を調整する中枢に作用します。視床下部は、排卵や月経をコントロールするホルモンの起点となる部位であり、ここに作用することで、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を高め、最終的に下垂体からの黄体化ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促進します。内服薬で使用が簡便なため、軽度から中等度の排卵障害に対して第一選択薬として用いられています。一方、重度の排卵障害では効果が得られないため、適用とはなりません。

(2)ゴナドトロピン製剤

 内服薬が無効な症例には、注射薬であるゴナドトロピン製剤が適用となります。排卵誘発効果が高い一方、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群などのリスクも高く十分な注意が必要です。FSHとLHの両者を含有するものとFSHのみ含有するものがあり、後者の一部は自己注射に適した剤型となっています。

(3)高プロラクチン性排卵障害に使用するドパミン作動薬

 産後に母乳を分泌させるホルモンをプロラクチンといいますが、産後以外の時期でプロラクチンが高くなると排卵障害が引き起こされます。この場合、ドパミン作動薬であるブロモクリプチン(商品名;パーロデル)やカルベゴリン(商品名;カバサール)を投与することで、血中プロラクチン値が低下し80%の症例で排卵が回復します。

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