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ホーム > 一般のみなさまへ:不妊症Q&A > Q20.加齢に伴う卵子の質の低下はどのような影響があるのですか?

一般のみなさまへ

質問年齢が不妊・不育症に与える影響
Q20.加齢に伴う卵子の質の低下はどのような影響があるのですか?

回答

 女性は35歳以上になると、妊娠率の低下だけでなく流産率が増加します。これは、加齢による卵の染色体異常や受精後の胚発育の悪化により起こると考えられています。メカニズムは明らかではなく、残念ながらその予防方法もないのが現状です。

女性の年齢の増加による妊孕力の低下の主な原因は、卵子の質の低下です

 自身の卵子を用いた治療では、女性の年齢の増加に伴って、妊娠率・生産率は低下しますが、年齢の若い女性から卵子提供を受けると、女性の年齢の増加による妊娠率・生産率の低下は見られなくなります(図1)。つまり、女性の年齢の増加に伴う妊孕力の低下は、加齢による「卵の質の低下」が主な原因であることがわかります。


図1.提供(ドナー)卵子と自身の卵子を用いた生殖補助医療による治療成績
図1.提供(ドナー)卵子と自身の卵子を用いた生殖補助医療による治療成績

 患者自身の卵子を用いた場合(青色)と若年女性からの提供(ドナー)卵子を用いた場合(赤色)の生殖補助医療による生産率を示した。患者自身の卵子を用いた場合は、年齢の増加に伴い生産率は低下しますが、ドナー卵子を用いた場合は、年齢による生産率の低下は認められません。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発表した2003 ART Success Rates in USAのデータを用いて作成。

女性の卵巣内にある卵子は生まれる前に作られ、その後新たに補充されることはありません

 卵子の元になる卵母細胞は、女児がまだ母体内にいる胎生5ヶ月頃に最も多く、約700万個作られますが、その後急速にその数が減少し、出生時には、約200万個となり、排卵が起こり始める思春期頃には、30万個まで減少します(図2)。そのうち、排卵する卵子の数は400~500個(1%以下)です。つまり、排卵する卵子の年齢は実年齢とほぼ同じであることになります。このように卵母細胞の数は増加することはなく、37歳頃を過ぎると急速に減少し、卵母細胞の数が約1,000個以下になると閉経します。

図2.年齢による卵細胞数の変化
図2.年齢による卵細胞数の変化

 卵細胞は妊娠5ヶ月まで700万個(両側卵巣)と著しく増加するが、その後減少し、出生時には約200万個となる。さらに、初経の時期には30万個まで減少する。Bakerの論文(Baker TG. A Quantitative and Cytological Study of Germ Cells in Human Ovaries. Proc R Soc Lond B Biol Sci. 158: 417-433, 1963)を改変し図を作成。

加齢に伴い卵子の染色体異常が増加します

 体の細胞は46本の染色体を持っていますが、卵子や精子の染色体は各々23本であり、受精して受精卵になると染色体は46本になります。卵母細胞が排卵する卵子になるまで、2回の分裂(第一・第二減数分裂)を経て23本の染色体になります。卵母細胞は排卵周期が開始するまでの間、第一減数分裂の途中で停止しています。女性の年齢の増加に伴い、卵巣内で卵子が老化すると、卵子の第一減数分裂の異常である染色体不分離という現象が認められるようになり、染色体異常が増加すると考えられています(図3)。

卵子の質が低下するメカニズムは現在のところ不明です

 女性の年齢の増加により卵子の質の低下が起きていることは様々な事実から明らかです。ミトコンドリアは細胞内のエネルギー調節を行う重要な細胞内小器官であり、細胞のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)を産生します。ミトコンドリアの機能低下と「卵子の老化」を関連付ける研究結果が報告されています。しかしながら、「卵子の老化」の詳細なメカニズムは現在のところ不明です。

図3.染色体の不分離による卵子の染色体異常
図3.染色体の不分離による卵子の染色体異常

 卵母細胞は2回の分裂(第一・第二減数分裂)を経て23本の染色体になります。23本の染色体を持った精子と受精すると、受精卵の染色体は46本となります。一方、卵子の老化により染色体の不分離が起こることが知られていますが、染色体の不分離の起こった卵子の染色体は24本となります。23本の染色体を持った精子と受精すると、受精卵の染色体は47本となり染色体異常の受精卵ができます。

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