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一般社団法人日本生殖医学会

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一般のみなさまへ

質問治療
Q10.人工授精とはどういう治療ですか?

回答

 人工授精(AIH)は受精の場である卵管膨大部に受精に必要十分な精子を届けるため子宮腔内に精子を注入する治療法です。

 精液を直接注入すると感染や精漿中に含まれるプロスタグランディンという物質により子宮が収縮して痛くなることがあるため、普通は精液を洗浄してプロスタグランディンなどを除去し、運動性の良い精子を選んで0.2-0.5ml程度を子宮に注入します。
 乏精子症(精子濃度1,500万/ml以下)、精子無力症(運動率40%以下)、性交障害、精子頸管粘液不適合(フーナーテスト不良)、抗精子抗体保有症例、原因不明不妊症例が適応となります。しかし、調整後の総運動精子数が100万から500万がAIHの限界とされており、それに満たない場合は顕微授精がすすめられます。
 AIHでは授精のタイミングが排卵日と一緒になることが重要で、基礎体温、頸管粘液、超音波により卵胞の大きさを測ったり、尿や血液のホルモンの値を参考にして排卵日を見つけて行います。実際には尿中のホルモンが測定できた日の翌日、hCGを投与する場合は投与後36時間頃までに行います。
 排卵誘発剤などを使わないで行う場合のほか、クロミフェンやゴナドトロピンによる排卵誘発と併用する場合があります。原因不明不妊の妊娠率はAIHのみに比べ排卵誘発を併用したAIHの方が高く、クロミフェンやレトロゾールを使うことがすすめられていますが、ゴナドトロピンを併用する場合は多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群に対する注意が必要です。
 AIHでの妊娠率は施行回数6回程度で頭打ちとなりますので、それまでに妊娠に至らない場合は体外受精を考えた方が良いと思います。AIHの副作用として出血や腹痛、熱が出たりすることがあり、2-3日間抗菌剤を投与することもあります。

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