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一般社団法人日本生殖医学会

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一般のみなさまへ

質問治療
Q16.生殖補助医療の治療成績はどの程度なのですか?

回答

 日本産科婦人科学会の調査によると、生殖補助医療(ART)を用いた治療は、2022年には全国で602施設、545,630治療周期が行われました。このうち実際に生児をえるに至った(生産分娩)治療周期は75,172周期(13.8%)でした。

 新鮮胚治療周期と凍結融解卵・胚治療周期の治療別に見てみると、新鮮胚治療周期で生産分娩に至った治療周期は1.7%(4,883/279,218)、凍結融解卵・胚治療周期で6.6%(70,289/264,412)でした。黄体ホルモン併用卵巣刺激法(Progestin-Primed Ovarian Stimulation)や着床前遺伝学的検査(Preimplantation Genetic Testing)等の新たな治療法が広まり、全胚凍結周期(新鮮胚治療周期のうち、受精し発育した胚をその採卵周期に戻さずにすべての胚を凍結保存する周期)が増加していることが要因と推測されます。出生児数は77,206人であり、この数値は日本で生まれた児の約10人に1人が生殖補助医療で出生していることになります。

 2022年に日本全国で行われた治療の成績を、治療を受けた女性の年齢によって分け分析した結果を図1に示します。治療成績の表現には、成績の分子、分母に用いられている項目が異なるので注意が必要です。図1には、治療開始周期あたりの生産率(児が生きて産まれる確率)と妊娠率、胚移植を行った周期あたりの妊娠率と妊娠した周期あたりの流産率を記載しています。妊娠率・生産率は若い年齢で高く、年齢が上昇するにつれ低くなりました。治療あたりの生産率でみると、32歳ぐらいまではほぼ一定で、約22-23%の生産率がありますが、33歳より高齢になると徐々に下降し(約1%/歳)、37歳からは下降率も急激(約2%/歳)となっています。39歳では治療開始周期あたりの生産率は12.7%ですが、40歳では10.8%、43歳で4.2%と40歳を超えると生殖補助医療での生児獲得もかなり厳しくなります。また、妊娠後の流産率をみると、33歳ぐらいまでは約15-19%で推移しますが、34歳から徐々に上昇し37歳以降は急激な上昇となります。39歳での妊娠成立後の流産率は30.3%、40歳では32.6%、43歳では47.3%という結果でした。

 このように生殖補助医療の治療成績は、年齢がその成績に大きく影響していることがわかります。この他にも、移植胚の発育段階(初期胚・胚盤胞)やPGT等の行った治療の内容によっても成績は変わってきます。生殖補助医療を受ける場合には、可能であればより若い時期に受けることが大切になります。

図1 2022年生殖補助医療(ART)の治療成績(年齢別)
図1 2022年生殖補助医療(ART)の治療成績(年齢別)

(https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pptx)

日本産科婦人科学会 ARTデータブック2022
ET:胚移植

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