妊娠が成立するまでのおおよその過程は次のようになります。
これが妊娠までのプロセスで、着床から妊娠がスタートします。それでは、各プロセスについてもう少し詳しく解説しましょう。
排卵
卵子は、卵巣の卵胞という袋の中で排卵される日を待っています。脳の下垂体という器官から分泌されるホルモンの刺激によりいくつかの卵胞が成熟しはじめますが、その中から選ばれたただ1つの卵胞だけが成熟し、この成熟卵胞から卵子が排出されます。これが排卵です。
排卵は、月経周期が28日の人の場合おおよそ14日目におこります(図1)。排卵された卵子の寿命は約24時間といわれています。卵子は卵管の先にある卵管采に取り込まれ、少し奥に入った卵管膨大部という場所で精子を待ちます(図2)。
受精とは、セックスによって女性の体内に精子が入り、この精子と卵子が融合して一つの細胞(受精卵)になるまでの過程をいいます。
排卵が近づくと、子宮の入り口(子宮口、頸管)には精子が通り抜けやすいように頸管粘液が満たされるようになります。腟内に射精された精子は、この頸管から子宮内に泳ぎ上がり、卵管を通って卵管膨大部に達します。精子の女性体内での寿命は72時間といわれますので、この寿命期間の間に運良く卵管膨大部にいる卵子と出会って初めて受精が成立します(図2)。
受精卵は2個、4個、8個と細胞分裂をしながら、卵管の中を子宮に向かって移動してゆきます(図3)。
この時期までに子宮では、受精卵が着床しやすいようにベッドメーキングをしています。受精後5日ほどすると、受精卵は子宮腔(子宮の中)に到達し、7日目には子宮内膜にもぐり込んで、根を張ってゆきます。これが着床です(図3)。
通常着床を妊娠の開始と定義しています。
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