Dr. Mitsutoshi Yamada
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室 准教授
幹事長

私は自身の学生時代に実習でヒト卵子をはじめて見たときの美しさに心を奪われた感動を今も鮮明に覚えています。たった一つの細胞が約37兆個にまで分化し、生命へとつながる不思議を理解したい――その思いから、生殖医学の道を志しました。
生殖医学は、卵子・受精胚・着床といった「生命の萌芽」を科学的に探求できる特別なフィールドであり、人が「生まれる」という現象そのものを解き明かす挑戦です。学問的な好奇心を満たすとともに、妊娠を支える医療として目の前の患者を直接サポートできる点にも大きな魅力があります。さらに体外受精は少子化対策の一手として保険適用となるなど、社会的にも注目が高まっており、科学と社会の接点に立つ生殖医療専門医の重要性は一層増しています。
技術を超えて「問いを持ち続ける力」を大切にし、新しい医療のかたちを切り拓く仲間として、次代を担う若い力に心から期待しています。