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一般社団法人日本生殖医学会

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理事長ご挨拶

理事長就任のご挨拶

令和6年6月14日
一般社団法人日本生殖医学会
第17代理事長 杉野 法広

この度、歴史と伝統ある日本生殖医学会の理事長を拝命し、光栄に存じますとともに、その重責に身が引き締まる思いです。私は、本会の理念「日本生殖医学会は、英知と良識を発揮して我が国の生殖医学を発展させ、社会の先導者たらん医療人を育成し国民に対して安全で安心な質の高い医療を提供する」のもとに、全身全霊で本会の発展に尽力する覚悟です。ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

近年、科学技術の進歩には目覚ましいものがあります。一昨年から生成AIが注目されていますが、その機能の高さと簡便さから、あっという間に世界の隅々まで広がりました。一方で、著作権、偽情報、正確性などの様々な問題が浮上し、どのように利用すべきかについて議論されています。テクノロジーが進歩すると、付随する潜在的な問題が前面に出てくるのは必然です。生殖医療においても様々な問題が取りざたされています。着床前遺伝子診断(PGT-A/SR, PGT-M)、医学的適応のない卵子凍結保存、卵子・精子の提供などです。現代の医療技術であれば難しいものではありません。しかし、賛否両論があるなか、付随する複雑な問題のため、その恩恵を受ける人は限られています。一方で、女性のReproductive rightsや女性の自己決定権の尊重が叫ばれています。倫理観等は個人によっても異なりますし、また時代によって変わっていきます。今後、ますますテクノロジーが進歩する中で、付随する問題をうまく解決し、進歩した技術をすみやかに活用して患者さんが広く恩恵を受けることができるようになることが必要と思います。我々生殖医療に携わっている者は、日々、挙児を願う患者さんと接しているため、その切なる願いを最もよく理解しています。悩める患者さんを目の前にして、また、生殖医療従事者も苦悩しています。臨床現場で実際に生殖医療に従事されている会員の声に耳を傾けたいと思っています。本会が先導する生殖医療の在り方には社会からの関心が高いことを認識しながら、私は、今、患者さん、会員、社会から真に求められていることは何かを常に見極めながらスピーディに対応していきたいと思っています。

令和4年から始まった生殖医療への保険適用は、患者さんが高度生殖医療の恩恵を広く受けることができるようになった第一歩です。今後も、患者さんが恩恵を受けることができる様に尽力していきます。本会は学術団体として、生殖医療技術の正確性・妥当性・安全性を科学的根拠に基づいて評価し社会に送り出すことが使命です。生殖医療に関わる者が良質な医療を提供し社会に貢献する事の重要性は、日本産科婦人科学会と共通した認識です。今後、さらに日本産科婦人科学会と連携を密にしながら、日本生殖医学会がリーダーシップを発揮し、高度生殖医療を患者さんに届けたいと思います。

学術・研究面では、Physician Scientistの養成に力を入れたいと思います。論文を書ける、査読ができる、ガイドラインを作成できる、臨床試験を主導できる、このような人材の育成を行いたいと考えています。

さて、本会のofficial journalであるRMB(Reproductive Medicine and Biology)誌は、2020年に初めてのインパクトファクター3.239を獲得してから、2021年には4.009、2022年は3.4と順調な滑り出しを見せています。今後は、アメリカの Fertility & Sterility、ヨーロッパのHuman Reproductionと並ぶ、アジアのRMBとしてのステータスを確立したいと思っています。RMBの存在を広く世界に周知することも重要ですが、会員の皆様におかれましても、引き続きご支援をよろしくお願い申し上げます。

日本専門医機構の専門医(サブスペシャルティ)の認定制度に対しても難しい対応が迫られています。生殖医療に不可欠な男性不妊症を扱う泌尿器科の会員との共存を重要視しています。

私が勤務する山口大学医学部産科婦人科のホームページには、私のあいさつとして、「私は、産婦人科医としてまた医学部教授として診療・研究・教育を通して、女性の幸福のために生涯を捧げる決意でいます。」と述べていますが、その気持ちは今も変わりはありません。さらに、これからは、本会での活動を通して患者さんの幸福のために生涯を捧げたいと思っています。私は、活気あふれる魅力ある日本生殖医学会を目指して全力を注ぐ覚悟です。会員の皆様方のご支援を宜しくお願い申し上げます。

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