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一般社団法人日本生殖医学会

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理事長ご挨拶

理事長再任のご挨拶

令和4年6月10日
一般社団法人日本生殖医学会
理事長 大須賀 穣

日本生殖医学会の理事長職を再度拝命し、職責の重大さを改めて認識しております。生殖医学を発展させるという本会の基本的な理念を大切にするとともに、会員各位が満足できるよう一生懸命頑張ってまいりたいと存じます。

国の豊かさ、国民の幸福を考えるうえで適切な医療を受けられることは必須条件といえます。わが国の平均寿命は延び続け世界で1、2位を争い続ける状況です。これは生活習慣病などに対する我が国の進んだ医療を国民が分け隔てなく享受している証左でもあります。我が国はこのように医療の一流国であるにも関わらず、生殖医療に限ってみると様々な理由で高度医療の恩恵にあずかることのできない患者さんが少なくありませんでした。これに対し政府は助成金の制度を拡充してきましたが、限界もあり生殖医療に広く保険制度が導入されるに至りました。今年4月から始まった生殖医療への保険適用は、我が国の生殖医療の大きな転換点と言えます。保険適用により患者さんが生殖医療を受ける際の経済的な障害が軽減することが期待されています。次に、私としてはこちらの方がむしろ大きな意味を持つかと思いますが、不妊症が他の疾患同様に認識されることになったのではないでしょうか。このことは社会的な意味も大きく、生活習慣病などと同様に不妊症も国にとっての重要な疾患として位置づけられていくための基盤となります。一方でこれまで自由に導入できた新たな技術が導入に際して様々な制約を受けることになりました。混合診療の禁止などの保険診療特有の制約は分野を問わず我が国の医療における共通の課題ですが、生殖医療においてはその影響がより大きくなる可能性があり、本会としても継続的な取り組みが必要と認識しております。今回の保険導入に際して本会が昨年発刊した生殖医療ガイドラインが参考とされました。多くの先生方のご協力により我が国の叡智を集めたこのガイドラインは欧米のガイドラインに匹敵する内容になっております。今後は我が国でのエビデンスの蓄積、臨床研究などを通してガイドラインを進化させていく必要があると考えております。

学術面に関しまして欧州や米国の生殖医学会に倣いSIGの活動を開始いたしました。SIGは特定の分野において会員相互の交流を活性化しながら学術活動を促進するものです。現在はSIGの数も限られておりますが今後の発展に期待しております。法人運営におきましては学会独自の事務局の運営が開始して2年以上が過ぎました。事務局職員のご尽力により運営が安定してきておりますが、更に安定した運営に向けて各委員会を主軸として学会のガバナンスを強化し、経営面においても安定させていきたいと考えています。教育と生殖医療従事者資格制度に関しましては、生涯教育を念頭により一層の充実を図っていきたいと考えております。保険診療の導入に伴い国民の適正な生殖医療への視線はより厳しいものとなっています。本会として引き続き質の高い専門医の育成に努めていきたいと存じます。またグローバル化が加速する現代においては国際化も必須の課題です。海外との交流は我が国の優れた生殖医療を世界に発信するためにも重要です。次世代を担う会員が活躍する場としても国際交流を進めていきたいと存じます。同時に倫理面も含めて複雑化する現代の医療に対応するために国内関連学会との連携も堅持してまいります。

最後になりますが、学会の発展のためには会員の学会活動へのご支援が必要です。忌憚ないご意見を寄せていただき、積極的に学会活動にご参加いただき、本会をより力強く活気のある学会へと発展させましょう。引き続きのご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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