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一般社団法人日本生殖医学会

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ガイドライン

平成30年3月30日

倫理委員会報告
「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針」

医学的適応による未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存について

(対 象)
1) 悪性腫瘍など(以下、原疾患とする)の治療等、医学的介入により性腺機能低下をきたす可能性があり、本人が希望する場合には、未受精卵子および卵巣組織(以下、「未受精卵子等」とする)を凍結・保存すること(以下、本法とする)ができる。本法を施行することが、妊孕性温存と原疾患の治療の実施に著しい不利益とならないと判断されるものを対象とする。
2) 本法の実施にあたっては、原疾患治療に及ぼす影響を把握するため、原疾患主治医から文書による適切な情報提供ならびに許可がなされていることを要する。
3) 凍結予定の卵巣に悪性腫瘍が認められる場合は、卵巣組織を凍結・保存することはできない。
4) 対象者が成人の場合は本人の同意に基づき、また未成年者の場合には本人および親権者の同意に基づき、凍結・保存することができる。成人に達した時点で、本人の凍結保存継続の意思を確認し、改めて本人から文書による同意を取得する。
5) 同意取得にあたっては、原疾患主治医と生殖医療担当医が情報を共有しながら、口頭および文書を用いて、未受精卵子等の採取、凍結と保存の方法や、凍結された未受精卵子等による生殖補助医療 (ART) について十分に説明し、インフォームド・コンセント(IC) を得る。

(実施施設)
6) 未受精卵子等の保存施設と、それらを用いてARTを実施する施設は、同一であることを原則とする。
7) 本法は、原疾患治療施設内にあるART登録施設で行われるのが望ましいが、原疾患治療施設内にART登録施設がない場合には、原疾患治療施設と連携できる他のART 登録施設が行ってもよい。

(未受精卵子等の保存)
8) 未受精卵子等の保存においては、各施設が十分な長期間にわたり保存する設備を備える必要がある。また、各施設は定期的に対象者の保存の意思を確認することが望ましい。
9) 未受精卵子等は、対象者から破棄の意思が表明されるか、対象者が死亡した場合は破棄する。
また、対象者が生殖可能な年齢を過ぎた場合は、通知の上で破棄することができる。
10) 当該ART登録施設は、未受精卵子等の保存を継続できない場合、対象者の同意を得たうえで、可能な限り原疾患治療施設と連携して、他のART登録施設での保存の継続を検討する。

(その他)
11) 凍結保存された未受精卵子等の売買および譲渡は認めない。
12) 未受精卵子等を、対象者の生殖以外の目的で使用することはできない。
ただし例外として、対象者から破棄の意志が表明され、凍結された未受精卵子等を対象者が生殖医学の発展に資する研究に利用することを許諾した場合は、法律や国・省庁ガイドラインに沿い、ICなどを含めた必要な手続きを改めて施行した上で使用することができる。
13) 医学的適応による未受精卵子等の凍結・保存を行う医療機関は、日本産科婦人科学会への登録申請(施設および症例)を要する。

注釈
項目5) のICにおいては、生殖医療担当医は以下の諸点について説明する。
(1) 本法の詳細ならびに予想される成績と原疾患の予後に影響を及ぼす可能性
(2) 凍結保存した未受精卵子等の保存期間および破棄の手続き
(3) 凍結した未受精卵子等を用いたARTの詳細および将来妊娠する可能性と妊娠した場合
の安全性
(4) 本法の費用、その他

医学的適応のない未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存について

(対 象)
1) 加齢等の要因により性腺機能の低下をきたす可能性がある場合には、未受精卵子あるいは卵巣組織(以下「未受精卵子等」という)を凍結保存することができる。
2) 凍結・保存の対象者は成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は、36歳未満が望ましい。
3) 同意取得にあたっては、口頭および文書を用いて、未受精卵子等の採取、凍結と保存や、凍結された未受精卵子等による生殖補助医療(ART)について十分に説明し、インフォームド・コンセント (IC) を得る。

(実施施設)
4) 未受精卵子等の保存施設と、それらを用いてARTを実施する施設は、同一であることを原則とする。

(未受精卵子等の保存)
5) 未受精卵子等の保存においては、各施設が十分な長期間にわたり保存する設備を備える必要がある。また、各施設は定期的に対象者と保存の意思を確認することが望ましい。
6) 未受精卵子等は、対象者から破棄の意志が表明されるか、対象者が死亡した場合は破棄する。
また、対象者の生殖可能年齢を過ぎた場合は、通知の上で破棄することができる。

(その他)
7) 凍結保存された未受精卵子等の売買および譲渡は認めない。
8) 未受精卵子等を、対象者の生殖以外の目的で使用することはできない。
ただし例外として、対象者から破棄の意志が表明され、凍結された未受精卵子等を対象者が生殖医学の発展に資する研究に利用することを許諾した場合は、法律や国・省庁ガイドラインに沿い、ICなどを含めた必要な手続きを改めて施行した上で使用することができる。
9) 凍結保存した未受精卵子等の使用にあたっては、加齢による周産期リスクの上昇を十分に考慮する。
10) 医学的適応のない未受精卵子等の凍結・保存を行う医療機関は、日本産科婦人科学会への登録申請(施設および症例)を要する。

注釈
項目3) のICにおいては、生殖医療担当医は以下の諸点について説明する。
(1) 未受精卵子等の凍結保存の方法ならびに予想される成績とリスク
(2) 凍結保存した未受精卵子等の保存期間および破棄の手続き
(3) 凍結した未受精卵子等を用いたARTの詳細および将来妊娠する可能性と妊娠した場合の安全性
(4) 凍結および保存の費用、その他

未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存を行う施設の要件について

 日本生殖医学会は、当該医療を臨床実施する施設(以下「実施施設」)が十分な施設・設備を整え、適切な人員配置、診療体制、登録と報告の体制等を整備することを必要不可欠の要件と考える。 ついては、日本生殖医学会は、実施施設に対して、以下の各要件を満たすことを求めるものである。
1) 実施施設は、公益社団法人日本産科婦人科学会(以下「日産婦学会」)に対して「生殖補助医療実施医療機関」として登録申請し、「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織に凍結・保存に関する登録」について登録施設として既に認定されていること。
2) 実施施設は、日産婦学会に初回登録後、少なくとも一度は登録更新手続きを行い、最新の「生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解」の求める要件を満たし、かつ、過去3年間毎年遅滞なく報告義務を遂行した実績があること。
3) 実施施設は、未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存の臨床実施にあたり、その可否を「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に適合した当該施設倫理委員会等の審議に諮り、事前に承認を得ること。
4) 実施施設は、がん治療等で未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存を希望する対象者に対し、原疾患を治療する主治医と共に、継続的で密接な相談・助言・指導が可能となるような環境を提供すること。特に、複数の施設が連携して未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存を実施する場合は、当該実施施設はその運用について定期的な協議の機会を設定すること。
5) 実施施設は、十分な情報提供やカウンセリングに基づく適切なインフォームド・コンセントの機会を依頼者に提供するために、少なくとも一名の常勤の生殖医療専門医を擁すること。また、各実施施設は、専属カウンセラーを擁することが望ましい。
6) 実施施設は、未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存の実施に際して安全・確実な保存設備と管理体制を構築するだけでなく、対象者および凍結された未受精卵子および卵巣組織についての詳細な記録を十分な長期間にわたり保存し、将来的に、対象者ないし/及び出生児の要望に応じて開示するための必要な方策を整備すること。
7) 実施施設は、凍結・保存中の未受精卵子および卵巣組織の保存を継続する意思の有無について、定期的に対象者に確認する体制を整備すること。

一般社団法人日本生殖医学会倫理委員会
原田 省(委員長)
久慈 直昭(副委員長)
石原 理
市川 智彦
苛原 稔
片桐 由起子
齊藤 英和
原田 竜也
平池 修
谷口 文紀

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