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一般社団法人日本生殖医学会

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ガイドライン

2006年2月2日

事実婚における本人同士の生殖細胞を用いた体外受精実施に関する日本不妊学会の見解

 わが国においては、昭和58年の日本産科婦人科学会(日産婦)の会告"「体外受精・胚移植」に関する見解"(以下「日産婦会告」)により、体外受精などの不妊治療が法的婚姻関係のある夫婦に限定されている。日本不妊学会では、倫理委員会(野田洋一委員長)と理事会において「事実婚における本人同士の生殖細胞を用いた体外受精実施」に関して、討議を重ねてきた。その結果、今後予想される生殖医療の法制化への動きなどを鑑み、以下に述べるような結論に達したので、ここに日本不妊学会の見解として発表する。

 近年、親子・男女の結合・家族のあり方や考え方は大きく変容し、多様化している。また、社会の側も多様化したカップルに対して寛容であることが求められている。不妊治療として体外受精を希望するカップルのなかには、事実婚を選択したカップルも少なくない。そのため、不妊カップルに対する体外受精の実施にあたり、対象者を法的婚姻関係にある夫婦に限定した日産婦会告については、治療を受けるカップルおよび治療を行なう医療機関双方からその問題点が指摘されている。

 先進諸国において、体外受精の対象者を法的婚姻関係にある夫婦に限定する国は稀で、日本の現行法においても、体外受精の対象者を法的婚姻関係にある夫婦に限定すべき直接的な根拠はない。しかし、現行法および現時点までの判例を前提にすると、生まれてくる子の法的地位の安定のためには、事実婚カップルを対象に体外受精を実施する場合には、事実婚カップルに由来する生殖細胞を用いる治療に限定することが望ましいと考えられる。

 したがって、日本不妊学会は、事実婚の不妊カップルに対する本人同士の生殖細胞を用いた治療を可能とするべきと考える。

平成18年2月2日
社団法人日本不妊学会
理事長 岡村  均

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