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一般社団法人日本生殖医学会

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ガイドライン

2003年9月30日

「医学的介入により造精機能低下の可能性のある男性の精子の凍結保存」に関する日本不妊学会の見解

 ヒト精子の凍結保存は臨床応用されてからすでに50年の歴史をもち、その技術水準が向上したため、現在では不妊治療を中心として多数の施設で実施されている。一方、悪性腫瘍に対しては、外科療法、化学療法、放射線療法などの治療法が進歩し、その成績が向上してきたものの、これらの治療により造精機能の低下が起こりうることも明らかになりつつある。そのため、本人の意思に基づき、将来挙児を確保する方法として、治療開始前に精子を凍結保存する選択肢も考えられる。
 このような状況から、日本不妊学会倫理委員会ならびに理事会は「医学的介入により造精機能低下の可能性のある男性の精子の凍結保存」に関して検討した結果、次のような結論に達したので、日本不妊学会の見解として発表する。

  1. 悪性腫瘍の治療などによって造精機能の低下をきたす可能性のある場合には、精子を凍結保存することができる。
  2. 希望者が成人の場合には本人の同意に基づいて、また未成年者の場合には本人および親権者の同意を得て、凍結保存を実施することができる。
  3. 実施にあたっては、以下の事項について口頭および文書にて十分に説明し、インフォームドコンセント(IC)を得ること。…注釈)
  4. 凍結精子は本人から廃棄の意志が表明されるか、あるいは本人が死亡した場合、直ちに廃棄する。廃棄する凍結精子は研究目的には使用しない。
  5. 本人および親権者は、凍結精子を第3者に提供することはできない。

注釈
ICは患者治療に係わる医師(主治医 泌尿器科医または産婦人科医)が以下の諸点について説明する。
(1)罹患疾患の治療と造精機能の低下との関連
(2)罹患疾患の治癒率
(3)精子凍結保存の方法ならびに成績
(4)凍結保存精子の保存期間と廃棄
(5)凍結した精子を用いた生殖補助医療に関して予想される成績と副作用
(6)費用、その他

平成15年9月30日
社団法人日本不妊学会
理事長 伊藤 晴夫

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