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一般社団法人日本生殖医学会

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ガイドライン

2000年9月26日

Y染色体微小欠失を有する不妊患者に対する顕微授精について

 近年、Y染色体長腕上のAZF領域における微小欠失(Y-microdelection)が、重症造精機能障害男性に高頻度に認められることが明らかになる一方、これら患者でもその精子を用いた顕微授精(ICSI)により挙児可能となってきた。
 さらに、最近、この種の変異遺伝子が次世代男児に伝達されるとの報告も散見されるので、出生児の将来の妊孕性に対する影響が懸念される。
 本学会は、さきに「染色体や数異常や構造異常による男性不妊の精子の臨床応用について」(平成12年3月27日)を通して、染色体異常保有男性の精子を用いる顕微授精(ICSI)を実施する上での遺伝医学的、倫理的問題点について会員の注意を喚起してきた。Y染色体上の遺伝子異常を保有する造精機能障害患者の精子を用いる顕微授精(ICSI)施行に際しても、同様の留意と配慮が必要であるとの考えから、倫理委員会の議を経て、理事会において次の結論に達したので、ここに報告致します。

  1. Y染色体上の微小欠失と造精機能障害との関連について充分に説明する。
  2. このような精子を用いた顕微授精によって成立した妊娠では、出生児が男児の場合、同様の遺伝子異常が伝達される可能性があることを充分に説明する。
  3. 遺伝カウンセラーを交えた説明や情報提供が望ましい。
  4. 夫婦から文書によるインフォームドコンセントを得ておく。

平成12年9月26日
社団法人日本不妊学会
理事長 森  崇英

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