会長挨拶

 2014年12月4日、5日の両日、京王プラザホテルにおいて、第59回日本生殖医学会学術講演会・総会を開催いたします。本学会のメインテーマは「これからの生殖医療と家族のかたち」とさせていただきました。

 2010年にノーベル医学生理学賞を受賞されたエドワーズ教授は、残念ながら2013年に逝去されました。1980年に初版が出版された教授の著書である“A Matter of Life: The Story of IVF”は、新たな序文などを添えて2011年に第二版が刊行されました。この本を読み返すと、共著者のステプトー博士が冒頭に記した一人の卵管性不妊症患者の言葉である“What have I done wrong not to have a family of my own?”が、わたしたちが生殖医療を考える上で、今でも依然として出発点とすべき語りかけであることが思い返されます。

 メインテーマに沿って企画された講演やシンポジウムは、生殖医学の最先端知識を得るために不可欠な科学的進歩、さらに激しい賛否の議論の中にある生殖医療実践上の重要なトピックスを取り上げます。また、これに加え、本学会やわが国の生殖関連の医学系学会において、これまであまり大きくとりあげられなかった「家族のかたち」を中心とした企画も数多く予定しております。「家族を持ちたいが、思いがなかなか叶わない人々」の手助けをして、多くの方の幸せをかたちにするという生殖医学と生殖医療の原点に戻り、本学会が、同じ意識や目的を持つ仲間たちとの熱い議論の場となり、さらに親睦を深める機会を提供できることを希望しております。そのためには、一人でも多くの方のご参加をお待ちするとともに、ご演題をご応募いただければ嬉しく思います。
 開催時期は例年より少し遅く、師走に入った週となります。クリスマスの飾り付けにあふれる新宿の街を吹き抜ける季節の風は、議論に過熱した脳細胞を心地よく冷却し、きっと新しい着想との出会いを演出してくれるものと思います。年末のご多忙な時期と存じますが、どうぞ皆様おそろいでお出かけ下さい。

第59回日本生殖医学会学術講演会・総会
会長 石原  理
(埼玉医科大学産科婦人科学・同総合医療センター産婦人科教授)